福島第1原子力発電所事故と放射線問題をめぐる情報環境 -科学技術コミュニケーションの視点から-
Ito, Mamoru (2015). 福島第1原子力発電所事故と放射線問題をめぐる情報環境 -科学技術コミュニケーションの視点から-. Fukushima Global Communication Programme Working Paper Series. United Nations University.
Document type:
Report
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Sub-type Working paper Author Ito, Mamoru Title 福島第1原子力発電所事故と放射線問題をめぐる情報環境 -科学技術コミュニケーションの視点から- Series Title Fukushima Global Communication Programme Working Paper Series Volume/Issue No. 10 Publication Date 2015-12 Place of Publication Tokyo Publisher United Nations University Pages 6 Language jpn Abstract 本報告では、チェルノブイリ原発事故に匹敵する、原子力事象評価尺度(INES)で最悪の「レブル7」とされた原発事故ならびに放射線の問題に関する、メディアの報道、政府の広報、専門家が果たした役割を検証し、今後に活かす道筋を考える。事故発生直後の対応、放射性物質の放出が明らかとなり、除染そして内部被曝の問題が顕在化した時期、さらに3年が経過した2014年から現在まで、という3つのフェーズに分けて考察する。 検証から明らかになった諸点は、第1に「過酷事故」を想定した情報伝達システムの活用と各機関の間のコミュニケーションが円滑に行われず、結果的に事故の深刻さを見誤り、楽観論にもとづく広報、そしてそれに依拠したままの報道がなされたことである。高度情報社会と言われる高度に発達した日本社会が実際には「低度情報社会」と言わねばならないほどのレベルにある。第2は、原子力発電所の事故対応から、除染、放射線の影響、内部被曝、低線量被曝の問題へと論点が拡大した第2フェーズで、放射線の影響をめぐる専門家の見解と、それを伝える各種メディアの報道によって、情報の受け手側である市民の間に深刻な混乱、対立、分断が生まれたことである。 2014年から現在における情報環境の特徴は、「復興」「復旧」がそれなりに進むなかで、いまだ「不安」を感じている市民の声が伝えられない状況がますます拡大していることにある。「不安」の声が不可視化され、福島は「安全」「安心」といった言説が流布している。どこが安全で、どの地域がまだ除染を必要としているのか、きめ細かい情報が、事故から4年が経過したいまだからこそ、地方自治体の広報、ローカルメディアなどを通じて全ての市民に、自主避難した人たちと福島にとどまり生活する人にも、帰還を望む人たちと帰還を断念する(断念せざるをえない)人たちにも、伝えられなければならない。その課題を遂行する施策も実践もいまだ途上にある。 こうした情報環境をめぐる課題を克服し、乗り越えていくために何が求められているか、いくつかの提案を最後に行うことにする。 UNBIS Thesaurus NUCLEAR ACCIDENTS
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